Mastering Myself

VCとスタートアップ

Yコンビネーター本を読んで(その2)

 前回の続きです。 

Yコンビネーター

Yコンビネーター

 

decentralized.hatenablog.jp

 

グレアムのエネルギー

あれほどのエネルギッシュな人はめったにいません。(略)ポールとじかに話をすると、そんなアイデアではダメだ、全部クソだ、たとえそう言われたとしても、その場を離れるときにはもう何かを作りたくなっているのです。

これはYCに参加していた創業者のセリフだが、これこそがキャピタリストにとって重要なことな気がする。エネルギーを高め、モチベートする。ハードな事やメンタルを削られることと戦っている起業家にとって、テンションを下げられるのはほんとキツイだろうし。

誰かと起業する

ポール・グレアムはひとつだけルールを定めた。創業者がひとりだけのスタートアップには出資しない。(略)負荷を分散するためにはふたり必要だ。(略)共同創業者がいないという事実そのものが、友人たちの信頼を得られなかった証拠でもある

並外れている場合は「例外」を認めるようだが、基本方針はコレらしい。仕事やスキルという面での分散よりも、1人で思い詰めることが減るという効果は大きそう。

スタートアップのアイデアの選択について

第一に、スタートアップが成功するためにはものすごく広大な市場が必要であるということ。次に創業者がその市場にフィットしている必要があるということ。

上自体はもともとはDropboxのドルー・ハウストンが言ったことをYコン卒業生が語ったもの。そしてこれに続けて、

重要なのは次の3点です。コストを安上がりにすること。次にニッチを探すこと。でなければ、これが3番目ですが、既存のライバルより10倍優れたプロダクトを開発すること。ドロップボックスは3番目の例です

「創業者がその市場にフィットしている」って視点は「自分が欲しいものを作る」と言い換えられるのかな。

なぜシリコンバレーなのか

グレアムはシリコンバレー以外の土地に欠けているのは起業家精神ではなく、多くの創業者の集中だという。「ヨーロッパ(やその他の場所)では、人々が大胆さに欠けるなどということではなく、手本に欠けていることが問題なのだ」とグレアムは言う。成功の手本を目の当たりにすることこそ、創業への熱意を高めるもっとも効果的手段だ。手本となる先輩、仲間同士の切磋琢磨、経験者によるアドバイスという3要素を備えることができたのがYCの成功の要因と言えるだろう。

つい先日こちらのブログエントリでも書かれていたが、

www.tokyo-harbor.com

シリコンバレーベンチャー投資をしていた知人がいる。彼はシリコンバレーで次々と革新的な製品・サービスがスタートアップ企業から生まれる大きな要因としてそのメンタリティがあるという持論を持っている。具体的には周囲で昔から知っている知り合いが次々に「成功」(この単語は好きではないが便宜上使用している)しているのを見ると人は「(あんなに普通だった)アイツでも成功するんだから自分だってやれば成功する」と思うようになり、実際にやってみるとかなりの確率で「成功」する、という説であった。これは結局のところ「普通だった人が次々と成功する環境」にいると①そもそも挑戦するようになる、②自分も「成功」できるというマインドセットが実際に「成功」に寄与する、という二点なのだろう。

基本的にこの世の中は不確実性の塊であって、何かを予測することは難しい。誰もが「うまくいく」と分かっている賭けなら参加する。でも分からないと怖くなってその賭けには乗りづらい。

でももしすぐ隣のこないだまでラーメン一緒に食べてた奴がうまくいってたら、「あれ?できるかも?うまくいくかも?」と少しは思えるかもしれない。そういう意味で「集積する」ということの効果はメンタリティにめちゃくちゃ寄与するし、実利面でもいいことはたくさんありそう。

実際Yコン参加した創業者は毎週火曜の夕食会に全員が集まるという点にYCの本質があると捉えている。きっとそこで「お前どうだ?」みたいな会話をして自分のケツを叩いたり、また沈んでるときでも「がんばろう」となるんだろう。

それくらい同じ方向を向いている人らのいる環境にどっぷり浸かるってのは大事なんだろうし、またそれほどまでにメンタルを消耗するのがスタートアップなのかなという、、、本当にリスペクトしかない