2018年にGoogle(Alphabet)が買収した企業をまとめる
Wikipediaにこんな最高なリストがあったので、2018年にGoogleの持株会社であるAlphabetが買収した企業について深掘りしてみました。
2005年にAndroidを買収しているように、きっと買収は数年先の事業化を見据えてのものが多いと思うので、ここから数年後にGoogleがどういう世界を描いているのかなという一端に触れればいいなという目論見です。
Tenor
- 事業内容:GIFの検索エンジンとデータベース
- 設立:2014.2
- 出資者:Redpoint, Menlo Ventures, Tenaya Capital, OCA Ventures, Cowboy Ventures
- 総調達額:$32M
- 最終ラウンド:シリーズB
- 買収額:不明
概要
- Tenorは毎月120億件を超える検索と3億件の月間ユーザーを擁する
- メインプロダクトはGIF Keyboardアプリで、メッセンジャーやTwitterでGIFを共有できる
- その際に検索エンジンによって自分の気分や個性を伝えるために最適なGIFを見つけるのを助ける
- 競合はGiphy
- スポンサー付きのGIFを作成することで収益化
- 買収後も独立したブランドとして運営
多分Googleが手に入れたいのは感情データベースとその検索エンジン技術。Google Imagesに活かされているよう。
Velostrata
- 事業内容:企業のクラウド移行を支援
- 設立:2014
- 出資者:Intel Capital, Norwest Venture Partners, 83North
- 総調達額:$31.5M
- 最終ラウンド:シリーズB
- 買収額:不明
概要
- クラウドサービスに移行する企業が増えるにつれ、オンプレミスからクラウドへの移行を支援するシンプルな移行ソリューションの市場が生まれつつある
- イスラエルの企業向けにクラウド移行を簡単に行えるツールやソリューションを提供
- Velostrataはヘルスケア、金融、エネルギー、公共分野の顧客を抱える
- 買収後はワークロードをクラウドで実行できるようにオンザフライで適応させたり、オンプレミスの計算機能の性能を劣化させることなく、ストレージと分離したりできるソリューションを顧客に提供
グーグル、企業のクラウド移行を支援するVelostrataを買収へ - ZDNet Japan
すでにGoogle Cloudの製品に組み込まれている。
Velostrata - Cloud Migration Software for GCP | Google Cloud
Cask
- 事業内容:ビッグデータ解析
- 設立:2011.11
- 出資者:Andreessen Horowitz, AME Cloud Ventures, Battery Ventures, Cloudera, Data Collective, Ericsson, Ignition Venture Partners
- 総調達額:$37.5M
- 最終ラウンド:ベンチャーラウンド
- 買収額:不明
概要
- Google Cloudのツールに追加
GraphicsFuzz
- 事業内容:Androidのグラフィクスドライバーのセキュリティと信頼性をテストするフレームワーク
- 設立:2017
- 出資者:Engineering and Physical Sciences Research Council, TETRACOMプロジェクト
- 総調達額:不明
- 最終ラウンド:不明
- 買収額:不明
概要
- グラフィクスドライバーのテストを高度に自動化
- 信頼性やセキュリティを損なうバグがエンドユーザーに影響を及ぼす前に早期に発見
Senosis
- 事業内容:スマートフォンによる健康モニタリング
- 設立:2016
- 出資者:不明
- 総調達額:不明
- 最終ラウンド:不明
- 買収額:不明
概要
- スマートフォンに搭載されているセンサーによって特定の種類の疾患を診断する3つのアプリを検討
- スマートフォンのマイクを使って肺機能を測定するSpiroSmart
- スマートフォンのカメラのフラッシュを使って、血液の状態を体を傷つけること無くスクリーニングするHemaApp
- 骨を「鳴らす」パルスを発し、スマートフォンのマイクを使って周波数を測定することで骨粗鬆症をスクリーニングするOsteoApp
- 統合先はAlphabetのホームオートメーション事業のNest
Onward
- 事業内容:AIチャット
- 設立:2015
- 出資者:Grand Central Tech, Edward Lando, R/GA Accelerator
- 総調達額:$120K
- 最終ラウンド:コンバーチブルノート(転換社債)
- 買収額:不明
概要
- カスタマーサービスをボットで自動化
- 元々、ショッピングアシスタントのような消費者向けのチャットボットを提供していた
- 企業向けの需要に気づき転換
- 単純な質問にはデータベースから答えを取り出し、複雑な質問には対話のフローを自動的に作り、必要ならその後のフォローアップ
かなり小さい段階での買収っぽい。
Workbench
- 事業内容:プロジェクトベースの学習のためのプラットフォーム
- 設立:2013.5(最初の資金調達は2016.2)
- 出資者:Sagamore Ventures, Brown Advisory,
- 総調達額:$3M
- 最終ラウンド:シード
- 買収額:不明
概要
- 教育コンテンツをプロジェクトベースでパッケージ化
- ポップコーンの袋を使ってストップモーションアニメーション映画を制作するもの
- 数学プログラムは、平均値、変化率、データおよびモデル化を通じて感染の広がりを予測するもの等がある
- 2017年10月の時点で、世界中で1万校の学校で使用
- Google Classroomと統合
Sigmoid Labs
- 事業内容:インドの列車情報アプリ
- 設立:2013
- 出資者:不明
- 総調達額:不明
- 最終ラウンド:不明
- 買収額:推定3000〜4000万ドル
概要
- 列車の座席購入や列車の到着・出発情報が入手できるWhere is my Trainアプリの提供
- 登録ユーザー数は1000万人
- GoogleのNext Billion User部門に置かれる
- インドで米国テック企業が買収したものとしては過去最大の一つ
Googleはライト版のYouTubeなど含め、インド向けの事業を強化してるらしい。
雑感
最後までやって気付いたが、Stockclipが全く同じ記事を書いていた。しかも断然わかりやすい。Stockclipは神や。
Googleのクラウド事業が$4Bに対しAmazonやMicrosoftは$20Bと、クラウドで後塵を拝しており、クラウド事業を強化する買収が多い。
それから、恐らく次のでかいトレンドのヘルスケア事業にも張っている。Appleもゴリゴリに張っているので、間違いなくデカイはずだしそこからユーザーの健康や身体データを取得しておけば、ライフサイエンスへの道筋もつく。
あとは新興国にもしっかり関心が強くて種を蒔いてて、ほんと抜かりなさすぎる。