【クリプト編】Andreessen Horowitzのシードポートフォリオ
Andreessen Horowitzがシード投資(a16zのポートフォリオでseedカテゴリに出てくる企業)したポートフォリオの調査をしたのでそのまとめです。今回はクリプトです。
他にバイオ編もあります。
AXONI
シリーズA調達額:$18M
調達時期:2016.12
概要
金融機関などにブロックチェーン技術を提供しているが、見た感じコンソーシアムっぽいのと、ソリューション提供する企業。
Basis
概要
- アルゴリズムによって価格安定を図るステーブルコインのプロジェクト
- 2018年12月に閉鎖し資金を返却
Celo
調達額:6.5M
調達時期:2018.6
概要
Chia
調達額:$3.395
調達時期:2018.3
概要
- Bitcoinのような電気を無駄にするマイニングとマイニングの集中化という問題を解決する暗号通貨の構築を目指している
- Proof of Space(確率がディスク容量に比例)とProof of Time(攻撃緩和目的)が電気代の無駄を解決
- また使用可能なストレージ領域に従って、ファームできる確率が上がるため、ファーミングは分散される(Bitcoinのように安価な電気代やASICのために結束しないとマイニングできないわけではないので)。HDDメーカーは一見有利だが、コストに見合わない
- CEOはBitTorrentの発明者であるブラム・コーエン
マイニング(ファーミング)の集中化が起きないロジックがイマイチわからない。ストレージ領域の大きさに成功確率が比例するなら、集中化して難易度上がって、結局個人では手出しできない難易度になりそうなものだけど。コストに見合わないとも書いてあるから、そういう意味なら納得。
Compound
調達額:$8.2M
調達時期:2018.5
概要
- coinbaseも投資するアルゴリズムで金利を決定するレンディング/ボローイングプロトコル
- 貸出はいつでも引き出したり、入金したりでき、借入は担保さえあれば即時可能
- 暗号通貨は持っているだけでは利息が付かないので、それを貸し出して利息を受け取ったり、反対に借りてショートしたり、ICOに参加したりといったユースケースがある
- P2Pレンディングと違っていちいちマッチングする必要がなかったり、アルゴリズムで金利が算出されるのが特徴
- 将来的にはDAOへの移行も目指している
- 最大の脅威は規制
これは良さそう。ただサイトを覗いたらZRXの貸出をして年利0.09%に対し、借入だと年利5.78%と一般ユーザーには中々に渋いという感覚。うまくフィットすれば超良さそう
DFINITY
調達額:$102M
調達時期:2018.8
概要
- DAppsプラットフォームとしてのパブリックブロックチェーン
- 全てのノードが同じ計算を実行する非効率な既存のブロックチェーンが抱えるスケーリング問題を解決した
- 具体的には、少数のバリデータを選出してそのcommitteeメンバーが計算を行う
- 選出方法はアルゴリズムで、マイナーネットワークのトークン持ち分に対する比率で確率が決定して、ランダムに選出される
dYdX
調達額:$2M
調達時期:2017.12
概要
- 暗号通貨のデリバティブを提供するスタートアップ
- まずはショートポジションとレバレッジポジションを取れるプロトコルを提供
- CoinbaseのCEOであるBrian Armstrongと共同創設者のFred EhrsamやクリプトファンドのPolychainが投資
- 具体的には、ETH価格と反比例するショート用のEthereumトークンを購入して、ETH価格予想通り下がればショート用トークンを売ることで利益を得られる
- 貸し手はショート用EthereumトークンをバックアップするETHをスマートコントラクトに担保としてロックして、ETHを提供することで金利を稼ぐ
- dYdXはレバレッジ用のトークンも提供する
- 将来的にはあらゆるERC20のショート用、レバレッジ用のトークンを提供する予定
- ビジネスモデルとしては、付加価値のあるトークンを発行してプロトコルレベルでマネタイズする(ただし今はエンドユーザーのためにそれはしない)
- 取引所であるPoloniexも信用取引はできるが、ハッキングのリスクを抱えており、その点dYdXは分散化されている(スマートコントラクトで管理している)ことはセキュリティ面で利点(スマートコントラクト自体のセキュリティ問題はあるけど、、、ちゃんと監査してるっぽい)
めちゃいい企業だと思う。スマートコントラクトのセキュリティはネックだが、それ以外は特に技術的に難しい障壁はないし、需要も市場も大きい。これはうまくいくだろうなー。日本だと交換業の免許が必要か、、、
Filecoin
調達額:$52M(なお、これはpreセールで調達。ICOもあわせると$257M)
調達時期:2017.9
概要
- デジタルストレージ用の分散型ネットワークを提供
- ユーザーは余ったストレージを貸し出すことができ、その見返りに、ユーザーはファイルコインを受け取る
- USV、Sequoiaも投資
Keep
調達額:不明
調達時期:2018.4
概要
- ブロックチェーンに書き込まれる各種データのプライバシーを確保することを目指している
- プライベートなデータを安全に保護するためにオフチェーン上に"containers"を提供
- ユースケースは、医療報告書、信用格付け、財務データなどの個人データをパブリックブロックチェーン外に格納すること
- ユーザーはETHを払って、ストレージ容量を使用してデータをプライベートに保存する
- エコシステム内のプロバイダは、KEEPトークンを保持し、それらを使用して個人データを計算および保存する
MakerDAO
調達額:$12M
調達時期:2017.12
概要
- 価格の安定化を図るステーブルコインのプロジェクト
- 1USD=1DAIを目指している
- ETHをスマートコントラクトにロックすることで、ETHを担保にステーブルコインのDAIを発行できる
OpenBazaar
調達額:$1M
調達時期:2015.6
概要
- USVも投資
- Bitcoinで購入する管理者不在のP2Pオンラインコマース
- 売買手数料やサービス利用料は無料
- オープンソースプロジェクト
- システムはブロックチェーン上ではなく、IPFS上に開発・構築されている
- 評価システムやBitcoinのマルチシグを導入することで、買ったのに届かないみたいな問題を解決
- 怪しかったり、違法な出品は性質的に避けられない
どうビジネスになるんだ??
Orchid
調達額:$4.7M
調達時期:2017.10
概要
- Sequoiaも投資
- 今日のインターネットが検閲、制限、監視されていることを問題視
- ユーザーが検閲、制限、および監視なしでインターネットにアクセスできるようにするブロックチェーンベースのプロトコル
- OrchidのEthereumベースのトークンを支払うことで、未使用のインターネット帯域幅を持つ人々をインターネットへのアクセス制限のある場所にいるようなユーザーと共有するように動機づける
Facebookの事件を始め、政府や当局、巨大プラットフォームに対するプライバシーへの意識が高まっている時代背景を考えると、有望な気がする。さらに説明見る限り技術的にもシンプルな構成な気がして良い
TradeBlock
調達額:$2.8M
調達時期:2014.9
概要
- デジタル通貨の機関投資家向け取引ツールを提供
- Y Combinatorも投資
雑感
クリプトでもデリバティブやレンディング、ステーブルコインなど金融系の事業を軸に投資しながら、プロトコルやツール系にも投資。ゲームやSNSはないのは興味深い。個人的にも金融が要だと思う。
現実世界のお金や株式などのパラレルワールドとしてCrypto界に暗号通貨やトークンなどがあって、そりゃそれ用に金融サービス生まれるよなーという。だからゲームやSNSのに比べ、見通しが立ちやすく投資が多いんじゃないかという予想。ただ既存の金融機関や規制との戦いは大変
なおこれはAndreessen Horowitz本体からの投資で、Cryptoファンドはまた別のとこに投資してたりする。後日そちらも見る。