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VCとスタートアップ

【エンタープライズ編】Andreessen Horowitzのシードポートフォリオ

Andreessen Horowitzがシード投資(a16zのポートフォリオでseedカテゴリに出てくる企業)したポートフォリオの調査をしたのでそのまとめです。今回はエンタープライズ編です。

 

前回のはこちら▽です。

decentralized.hatenablog.jp

a16z.com

Comma.ai

調達額:$3.1M
調達時期:2016.4

概要

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  • 自動運転車用のキットを製造しているスタートアップ
  • iPhonePS3をハックしてたエンジニアが設立
  • 規制によって上のプロジェクトを中止、オープンソース
  • 自動運転車版のAndroidのような位置づけだとしている(トヨタやホンダ、GMの車で動作する自動運転用のエージェント)

Teslaのようにソフトからハードまで垂直に作る方法もあるけど、このようにソフトウェアはオープンソースなOSのように作って、各メーカーがこのソフトを乗っける方法も確かにあるなぁと思った。(Teslaはどちらかというと電気自動車のために作られた会社という認識だけど)

ただクラッシュしたり動作が不安定でも人命に影響のないスマートフォンに対して、人命に直結する自動車がソフトとハードが切り離されて製造されるのは少し怖いなと思った。Android がよくクラッシュしたり、不安定だったように。

DOXEL

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調達額:$4.5M
調達時期:2018.1

概要

  • 建設業界の生産性を高めるためのAIスタートアップ
  • 大規模な建設プロジェクトの98%が平均80%予算をオーバーし、予定より20ヶ月遅れて完成する
  • プロジェクトマネージャが、プロジェクトの結果に影響を与える最大の要因である労働生産性をリアルタイムで把握できないのが原因
  • どれだけの作業が行われたか、またはその作業が正しく行われたかどうかを正確に測定することはできないので把握が難しい
  • Doxelは自律型装置を使って、LIDARカメラとHDカメラで屋外でも屋内でも毎日建設現場を監視する
  • 独自の人工知能アルゴリズムはこの視覚的なデータを処理して、建設状況の品質を検査して、そしてどれだけの材料が正しく使われたかを定量
  • その後、Doxelのクラウドベースのダッシュボードは、どれくらい実際にコストと時間が元の予算とスケジュールと比較して使われたかなどの生産性についてのリアルタイムのフィードバックをプロジェクトマネージャに提供し生産性を把握する

人工知能が3Dでも扱えるようになった技術的進歩が背景にあるらしい。また、このチームの技術力も優れていて、独自のアルゴリズムによって少ないトレーニングデータでも信頼性の高い結果を得られるようになっているという。

ただただすごい。

drishti

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調達額:$10M(シリーズA)
調達時期:2018.5

概要

  • 生産性と品質の向上のために工場内の人間の行動をデジタル化するスタートアップ
  • 工場内での人間の活動を測定する手法は100年前と変わらなく、製造業における主な意思決定は、不完全で信頼性の低いデータに基づいている
  • drishtiは行動認識とAIによって工場内の人間の行動をデジタル化し、自動的に巨大な新しいデータセットを作成することで分析可能にして生産性を向上させる

Lyrebird

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調達額:不明
調達時期:不明

概要

  • 音声合成ディープラーニングの世界的な専門家によって設立されたスタートアップ
  • Yコン出身でSV Angelも投資
  • APIを通じて開発者や企業に提供する新世代の音声合成テクノロジを開発
  • 他の人の声をコピーして、その声で何でも言わせることができるのが特徴(トランプの声で喋らせたいことを喋らせたりみたいな)
  • ユースケースとしては、「あなたの選んだ声でオーディオブックを読む」「 病気のために自分の声を失った人々に、パーソナライズされたデジタル音声を渡す」「映画製作者が彼らの俳優の声を保存しておいて、その俳優が年を取ったり死んだりしてもそれを使うことができるようにする」
  • これまでは決定的証拠だった音声が信用できなくなったり、フェイクニュースに使われたりといった倫理的な問題も指摘されている

正しく使えばメチャクチャ良いし未来的なサービス。

OpenInvest

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調達額:$3.25M
調達時期:2017.5

概要

  • Yコン出身で関心のある社会問題に応じた投資ができるサービスを個人向けに提供するスタートアップ
  • 気候変動、労働力の多様性など関心のある社会問題を尋ね、自動的にそれらの問題に最善を尽くす会社で構成されるカスタマイズされたインデックスファンドを作る
  • 最低3,000ドルまたは5,000ドルから投資でき、手数料は約0.5%

ミレニアル世代のほぼ半分は、彼らが自分たちの価値観に沿って投資したいと言っておりトレンドを抑えているスタートアップ。こうした価値観に沿った投資は従来の投資に匹敵、もしくは上回るリターンを持つことが証明されているらしい。
日本でも全席禁煙を発表した飲食店の株を買って応援したいみたいな個人はたくさんいるだろうし、社会的意義もあって素晴らしいスタートアップだなぁ

Proven

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調達額:$1M
調達時期:2013.7

概要

  • LinkedInには応募しないような層に向けた求人応募アプリを提供

UnifyID

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調達額:$20M(シリーズA)
調達時期:2017.8

概要

  • 行動的および環境的要因を使用してユーザーを識別するデジタル認証プラットフォーム
  • 具体的にはスマートフォンのセンサー(加速度計やGPSなど)で収集したデータを利用して、機械学習、行動バイオメトリクス、および連続認証を組み合わせて、歩き方や座り方、タイピングの仕方等から識別して認証する
  • 99.999%の正確性を誇る
  • ビジネスモデルは、既存のモバイルアプリを持つ企業にSDKとバックエンドプラットフォームを販売し、API呼び出しごとに課金する

未来的だ。一応パスワードに次ぐ認証方法と書かれているのを見たが、この認証方式なら何も打ち込むことなく勝手に認証してくれる。

雑感

全体的にセンサーやカメラから収集したデータを深層学習、機械学習で処理して生産性向上や分析を可能にしたりするスタートアップが多い印象。ちゃんと問題を把握(建設業界のように)してこうした独自サービスを提供しているのはつえぇってなる。ただ、要求される技術水準が高かったり、ハードも頑張らないといけなかったり難しいという印象は強い。けど、すっげえ未来だなぁと感動した