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VCとスタートアップ

2018日経NEXTユニコーン上位15社の資金調達まとめ

2018年暮れに掲載された日経のNEXTユニコーン調査を元に、企業価値上位15社のインターネットで見つけられた資金調達情報を企業ごとにまとめました。また公表されている場合は出資者や時期、出資額(個別が開示されてない場合は総額)、出資比率もまとめました。最後に感想と考察も載せたのでよければどうぞ。

たとえ出資していても非公開の場合は観測できないので、この記事には載っていません。(尚、企業価値は推定、出資者は順不同)

vdata.nikkei.com

1位:プリファード・ネットワークス

企業価値:2402億円
業種:AI
事業内容:深層学習による制御技術開発
▽資金調達
2015.8:ファナック(9億, 6%)
2015.12:トヨタ自動車(10億)
2017.8:トヨタ自動車(105億)
2017.12:ファナック(5億)、博報堂DYHD(5億)、日立製作所(5億)、みずほ銀行(5億)、三井物産(5億)

2位: パネイル

企業価値:801億円
業種:人事・営業支援
事業内容:エネルギー管理システム開発
▽資金調達
2017.2(総額11.5億):インキュベイトファンドSMBCベンチャーキャピタル、大和企業投資株式会社、DGインキュベーション、ドーガン・ベータ、広島ベンチャーキャピタルみずほキャピタル、 YJキャピタル
2017(総額19.3億):Ad Hack Ventures、インキュベイトファンドSMBCベンチャーキャピタル、NCBキャピタル、七十七キャピタル、千葉功太郎、DG Daiwa Ventures、山口キャピタル、横浜キャピタル、りそなキャピタル、YJキャピタル

3位: freee

企業価値:652億円
業種:フィンテック
事業内容:クラウド会計ソフト
▽資金調達
2012.12:DCM(5000万)
2013.7(総額2.7億):Infinity Venture Partners、DCM
2014.4(総額8億):Infinity Venture Partners、DCM
2014.9(総額6.3億):Pavilion Capital、RSPファンド<リクルートホールディングス>
2015.8(総額35億):DCM、リクルートホールディングス、ジャパン・コインベスト
2015.12:SBIインベストメント(10億)
2016.12(総額33.5億):未来創生ファンド、DCM、SBIインベストメント、Salesforce Ventures、日商エレクトロニクス、日本生命保険相互会社、ちばぎんキャピタル、ジャパン・コインベスト
2018.8(総額65億):LINE、三菱UFJ銀行ライフカード、他海外国内の複数機関投資家および事業会社

4位:TBM

企業価値:563億円
業種:新素材
事業内容:紙・プラスチック代替品素材の開発
▽資金調達
2014.3(総額2.24億)
2014.4(総額9000万)
2014.5(総額3.26億)
2014.8(総額3.15億)
2014.11(総額2.7億)
2015.2(総額5.898億)
2015.2(総額1.692億)
2015.5(総額2.802億)
2016.2(総額15億):UBSグループのUBS証券株式会社およびUBS銀行東京支店のウェルス・マネジメントが提供するビジネス・マッチング・サービスにより紹介を受けた事業会社ら
2017.2(総額10.008億)
2018.8:ディップ、伊藤忠商事
2018.11:伊藤忠商事ゴールドマン・サックス、新生企業投資株式会社、大日本印刷、ディップ、凸版印刷株式会社、フランスベッドホールディングス、三菱鉛筆

5位:スマートニュース

企業価値:561億円
業種:eコマース・ネットサービス
事業内容:ニュースアプリ
▽資金調達
2013.8:グロービス・キャピタル・パートナーズ(4.2億)
2014.8(総額36億):Atomico、マネージング・パートナー、William Lohse、グリー、ミクシィ、川田 尚吾、グロービス・キャピタル・パートナーズ
2015.3(総額12億):グリー、グロービス・キャピタル・パートナーズ、Atomico、ミクシィ、William Lohse
2016.7(総額38億):日本政策投資銀行SMBCベンチャーキャピタル、 ジャパン・コインベスト、千葉 功太郎

6位:SanSan

企業価値:506億円
業種:eコマース・ネットサービス
事業内容:クラウド名刺管理サービス
▽資金調達
2009.6:サイバーエージェント(2000万)、リクルートインキュベーションパートナーズ(2000万)、GMO VentureParnters(1000万)
2013.4(総額5億):ニッセイ・キャピタル、GMO VentureParnters
2014.5(総額14.6億):DCM、日本経済新聞デジタルメディア産業革新機構、環境エネルギー投資、GMO VenturePartners
2016.1(総額20億):DCM、ニッセイ・キャピタル、セールスフォース・ドットコム

7位:エリーパワー

企業価値:404億円
業種:製造業
事業内容:大型リチウムイオン電池の開発製造
▽資金調達
2006.11:大和ハウス(3億, 31.25%)、大日本印刷(3億, 31.25%)、エネサーブ(3億, 31.25%)
2008.5:シャープ(6億, 32.1%)
2009.4(総額50億)
2009.4:国際石油開発帝石(20億, 15.09%)
2009.7:豊田通商(5億, 3.28%)、ミツミ電機(2億, 1.31%)、三井住友海上キャピタル(1億, 0.67%)
2010.6:オービック(10億, 5.33%)、三井住友フィナンシャルグループ(2.5億, 1.33%)、東テク(1億, 0.53%)、大和ハウス(9.1億)、エネサーブジャフコ(5億)、三井住友海上キャピタル(1億)
2011.9:大和ハウス(37億)、国際石油開発帝石(20億)、ジャフコ(10億)、ミツミ電機(3億)、ゴールドマン・サックス(15億, 5.07%)、阪和興業(10億)、日本ベンチャーキャピタル(6.5億, 2.19%)、三井住友海上火災保険(10億)、三井住友海上キャピタル(20億)、ニッセイ・キャピタル(1億)
2012.4:スズキ(10億, 3.09%)、ダイキン工業(10億, 3.08%)、SBI インベストメント(5億, 1.54%)、三井生命保険(2億, 0.62%)、鈴与商事(1億, 0.31%)
2012.5:大成建設(7億, 2.09%)、大和ハウス(1.5億)、エネサーブ(1.5億)

8位:FiNCテクノロジー

企業価値:356億円
業種:ヘルスケア
事業内容:健康管理アプリ
▽資金調達
2014.9:伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、グリーベンチャーズ、リンクアンドモチベーション、MIDベンチャーキャピタル、朝倉祐介、海老根智仁
2015.8(総額6.5億):岡田武史、千本倖生、喜多埜裕明、岡島悦子、那珂通雅、武藤真祐、米田幸正
2015.12:ANAホールディングス全日空商事、クレディセゾン第一生命保険三菱地所吉野家ホールディングスロート製薬キユーピーゴルフダイジェスト・オンライン、ネオキャリア、Fenox Venture Capital 、グッドパッチ
2016.3(総額20億):菅下 清廣、遠藤 恵司、諸江 幸祐、槇原 純、小高 功嗣、折目 尚也、高岡 本州、䔥 敬如、田村 茂、西田 尚弘、Paul Kuo、伊藤 裕司、高山 健、長洲 謙一、藤倉 尚、阿部 興一郎
2018.9(総額55億):ロート製薬日本電気第一生命保険資生堂中部電力帝人フロンティア、INTAGE Open Innovation Fund、アトラ、江崎グリコSOMPOホールディングス、FinTechビジネスイノベーション講談社J-WAVE竹中工務店みずほ証券プリンシパルインベストメント、広島ベンチャーキャピタル、横浜キャピタル

9位:フィナテキスト

企業価値:342億円
業種:フィンテック
事業内容:投資アプリ
▽資金調達
2017.5:ジャフコ(14.25億)
2018.7(総額60億):KDDIジャフコ、未来創生ファンド

10位:ビズリーチ

企業価値:341億円
業種:人事・営業支援
事業内容:人材サービス
▽資金調達
2010.3:ジャフコ(2億)
2016.3(総額37.3億):YJキャピタル、ジャパン・コインベスト、Salesforce Ventures、電通デジタル・ホールディングス、グリー、楽天リンクアンドモチベーション、EFU Investment Limited、East Ventures、IMJ Investment Partners Japan Fund
2016.10(総額11.5億):東京理科大学ベンチャーファンド、グロービス・キャピタル・パートナーズSMBCベンチャーキャピタルみずほキャピタル、SBIインベストメント

11位:オリガミ

企業価値:325億円
業種:フィンテック
事業内容:モバイル決済
▽資金調達
2013.4(総額5億):KDDIDAC
2015.4(総額16億):ソフトバンクグループ、クレディセゾン、高野真
2018.9(総額66.6億):SBIインベストメント、トヨタファイナンス信金中央金庫銀聯国際、クレディセゾン日本ユニシス、ジェーシービー、大垣共立銀行三井住友カード、DG Daiwa Ventures

12位:dely

企業価値:313億円
業種:eコマース・ネットサービス
事業内容:レシピ動画サービス
▽資金調達
2014.7:BEENOS、East Ventures、partyfactory
2014.9:ANRI
2016.11(総額5億):YJキャピタル、gumi ventures、ユナイテッド、佐藤裕介、もう1人
2017.3(総額30億):ジャフコ、YJキャピタル、gumi ventures、Das Capital、佐藤 裕介
2018.1(総額33.5億):ソフトバンク、YJキャピタル、アカツキ、ユナイテッド

13位:Looop

企業価値:307億円
業種:その他
事業内容:再生可能エネルギーの発電や設備販売
▽資金調達
2017.3(総額4.2億):アイモバイル、GOLDEN ASIA FUND II

14位:Liquid

企業価値:298億円
業種:eコマース・ネットサービス
事業内容:生体認証サービスの開発
▽資金調達
2015.3:東京大学エッジキャピタル
2015.12:伊藤忠商事、ISID、クレディセゾン東京大学エッジキャピタル
2016.4:トレイダーズインベストメント
2016.12:KDDI(3億)
2018.7(総額33億):農林中央金庫東京海上日動火災保険森トラスト大和証券グループ、上田八木短資、SBI AI & Blockchain投資事業有限責任組合

15位:ispace

企業価値:270億円
業種:ロボット・宇宙・モビリティ
事業内容:月面着陸船・探査機の研究開発
▽資金調達
2017.12(総額101.5億):産業革新機構日本政策投資銀行東京放送ホールディングスコニカミノルタ清水建設、スズキ、電通リアルテックファンド、KDDI日本航空凸版印刷スパークス・グループ

感想・考察

企業によってはステルスで情報があまりなかったりと、なかなか骨の折れる作業だったが、いろいろ学びもあり楽しかった。最も感じたのは「VCの少なさ」だった。もっとVCが出資しているのかと思ったが、上位15社は事業会社からの調達が多い。アプリやWeb系の企業はVC調達ももちろんあるが、ハードやハイテク系の企業は事業会社が多い。その背景としてはいくつかあると考えられて、

なのかなという予想。VCと比較すれば、その業界の事業会社の方が技術の目利きは出来そうであるというのと、ハイテク系はコストがかかる割に売上を上げるまでの期間が長そうであり、手堅くビジネスに結び付けられる共同開発や業務提携を視野に入れたくて、事業会社からの調達が多いのかなと考えた。あと、Fincの調達がアプリ系なのにめちゃ独特でおもしろい。

また、ミドルからレイター寄りになると、独立系より金融系・銀行系や事業会社からの調達がほとんどなのも興味深い。おそらく、

  • サポートがあまり要らなくなる
  • シナジー狙い

この辺が理由なのかな。創業期や組織立ち上げ〜拡大期に比べて、予測不能な事態が起きづらくなるのと、経営者が経験を積んで成熟してくるといった理由で経営のサポートがあまり要らなくなる、むしろ邪魔?になるため、コミットメントが高めな独立系VCがあまり入っていないのかな。あとは純粋に、事業として拡大するための提携や、スタートアップとは異なる界隈とのネットワークを作るためのシナジー狙いなのかな。

そしてispaceとかいう異端が気になる。。。w